一〇七〇

     科学に関する流言

                       五、一九、

   

   今日ちゃうど二時半ころだ

   高木から更木へ通る郡道の

   まっ青な麦の間を

   馬がまづ円筒形に氷凍された

   直径四十糎の水銀を

   二っつつけて南へ行った

   それから八分半ほど経って

   同じものを六本車につけて

   人が二人で運んで行った

   

   いやあの古い西岩手火山の

   いちばん小さな弟にあたるやつが

   次の噴火を弗素でやらうと

   いろいろ仕度をしてゐるさうだ