〔すがれのち萓を〕
五、一五、
すがれのち萓を
ぎらぎらに
青ぞらに射る日
川は銀の
恋人のところからひとりつゝましく村の学校に帰って
彼女は食品化学を勉強してゐるのである
一点つめたくわたくしの額をうつものは
青ぞらから来たアルコール製の雨であるか
竜が持ってきた薄荷油の滴であるか
青い蠅が一疋
思想の隅角部を過ぎる