〔エレキの雲がばしゃばしゃ飛んで〕
五、一四、
エレキの雲がばしゃばしゃ飛んで
一本の杉の枯れた心が
避雷針とでもいふやうに
二露里に亘る林のなかに立ってゐる
こんもりと新芽をふいた白樺の下に
一つの古いそりが置きすてられる
……岩手山麓地方の
ブッシュタイプに就て研究せよ……
Nymph, Nymphaus, Nymphaea
羊歯の花を借りてきて
いっぱいにつけた古い楢の木ででもあるか
雲は黒い尾を曳いて
しづかにまはりをかけちがふ
次の草稿形態へ→