一〇六五

     〔さっきは陽が〕

                       五、十二、

   

   さっきは陽が

   草地から来たのに

   こんどはひかる雲の裂け目から来やうとする

   

   今年もすっかり

   手がひゞ入ってしまった

      みだれた雲と

      たくさんの羽虫

   風は吹くけれども山鳩はなくのである