〔失せたと思ったアンテリナムが〕
五、十二、
失せたと思ったアンテリナムが
みんな立派に育ってゐた
キンキン光る青朱子のそら
あすこの花壇を
それでぎらぎらさせられるのだ
風の向ふの崖の方で
わづかな蝉の声がする
いったいわたくしは
いつ蜂雀に夏を約束したのか