〔あっちもこっちもこぶしのはなざかり〕
一九二七、四、二八、
あっちもこっちもこぶしのはなざかり
角をも蹄をもけぶす日なかです
名誉村長わらってうなづき
やなぎもはやくめぐりだす
はんの毬果の日に黒ければ
正確なる時計は蓋し巨きく
憎悪もて鍛へられたるその瞳は強し
小さな三角の田を
三本鍬で日なかに起すことが
いったいいつまで続くであらうか
氷片と光を含む風のなかに立ち
老ひし耕者もわらひしなれ