一〇三一

     〔いま撥ねかへるつちくれの蔭〕

                  一九二七、四、七、

   

   いま撥ねかへるつちくれの蔭

   古びて緑な陶器の蛙

   その蛙またはねかへり

   次の土くれはねかヘり

   まだねむってゐる春の蛙だ

   うごかないのは陶製のため

   つぎのつちくれいまかゝり

   蛙よ

   こんどは 四五日たって

   唐檜をこゝに植えるのだ

   そのときまでに

   眼をさまして外へ出てろよ