一〇三〇

     〔あの雲がアットラクテヴだといふのかね〕

                       四、五、

   

   (あの雲がアットラクテヴだといふのかね、)

   その黒い雲が胸をうつといふのか

   それは可成な群集心理だよ、

   なぜならきみと同じやうな

   この野原の幾千のわかものたちの

   うらがなしくもなつかしいおもひが

   すべてあの雲にかかってゐるのだ

   

   あたたかくくらくおもいもの

   ぬるんだ水空気懸垂体

   それこそほとんど恋愛自身なのである

   なぜなら恋の八十パーセントは

   H2O でなりたって

   のこりは酸素と炭酸瓦斯との交流なのだ、

   

   


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