一〇二六

     〔けさホーと縄とをになひ〕

                       四、四、

   

   けさホーと縄とをになひ

   新らしくつくった泥よけを穿いて

   十字軍の騎士のやうに

   白い頁に接吻して別れ

   壁の上に影も残して

   さわやかな風といっしょに出て来たのだが

   いまは耕土も暗くて熱く

   まなこをあげれば

   燃えつきて痛む瞳に

   水増す川と

   尾を曳く雲にまぶれるけむり

   

   綾だち酸えたこのひるすぎの

   世界はみんな

   青いいろした脂肪酸ではなからうか

   

 


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