一〇二三

     〔南から また東から〕

                  一九二七、四、二、

   

   南から

   また東から

   ぬるんだ風が吹いてきて

   くるほしく春を妊んだ黒雲が

   いくつもの野ばらの藪を渉って行く

   

    ひばりと川と

    台地の上には

    いっぱいに種苗を積んだ汽車の音

 

   仕事着はやぶけ

   いろいろな構図は消えたけれども

   今年おれは

   ちゃうど去年の二倍はたしかにはたらける