〔南から また東から〕
一九二七、四、二、
南から
また東から
ぬるんだ風が吹いてきて
くるほしく春を妊んだ黒雲が
いくつもの野ばらの藪を渉って行く
ひばりと川と
台地の上には
いっぱいに種苗を積んだ汽車の音
仕事着はやぶけ
いろいろな構図は消えたけれども
今年おれは
ちゃうど去年の二倍はたしかにはたらける