一〇一六

     〔黒つちからたつ〕

                  一九二七、三、二六、

   

   黒つちからたつ

   あたたかな春の湯気が

   うす陽と雨とを縫ってのぼる

      ……西にはひかる

        白い天のひときれもあれば

        たくましい雪の斜面もあらはれる……

   きみたちがみんな労農党になってから

   それからほんとのおれの仕事がはじまるのだ

      ……ところどころ

        みどりいろの氈をつくるのは

        春のすゞめのてっぽうだ……

   地雪と黒くながれる雲