一〇〇六

     〔こんやは暖かなので〕

                       三、一五、

   

   こんやは暖かなので

   この坂みちの

   淡い月光にひかる石ころの間を

   夜どほし

   雪どけの水がながれるのだ

     ……氷の雲とひばの列……

   その振作の大きな木小屋は

   北側の屋根がなくなったのか

   そらのうつろが映ってゐるのだ

      (ばらを十五本植えた

       そのばらが芽を出さない)