七四四

     病院

                  一九二六、一一、四、

   

   途中の空気はつめたく明るい水でした

   熱があると魚のやうに活溌で

   そして大へん新鮮ですな

   終りの一つのカクタスがまばゆく燃えて居りました

   市街も橋もじつに光って明瞭で

   逢ふ人はみなアイスランドヘ移住した

   蜂雀といふ風の衣裳をつけて居りました

   あんな正確な輪廓は顕微鏡分析(ミクロスコープアナリーゼ)の晶形にも

   恐らくなからうかと思ふのであります