〔降る雨はふるし〕

   

   降る雨はふるし

   倒れる稲はたほれる

   たとへ百分の一しかない蓋然が

   いま眼の前にあらはれて

   どういふ結果にならうとも

   おれはどこへも遁げられない

     ……春にはのぞみの列とも見え

       恋愛そのものとさへ考へられた

       鼠いろしたその雲の群……

   もうレーキなどほうり出して、

   かういふ開花期に

   続けて降った百ミリの雨が

   どの設計をどう倒すか

   眼を大きくして見てあるけ

   たくさんのこわばった顔や

   非難するはげしい眼に

   保険をとっても辨償すると答へてあるけ

   

 


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