僚友
一九二七、七、一、
わたくしがかってあなたがたと
この方室に卓を並べてゐましたころ、
たとへば今日のやうな明るくしづかなひるすぎに
……窓にはゆらぐアカシヤの枝……
ちがった思想やちがったなりで
誰かゞ訪ねて来ましたときは
わたくしどもはたゞ何げなく眼をも見合せ
またあるかなし何ともしらず表情し合ひもしたのでしたが
……崩れてひかる夏の雲……
今日わたくしが疲れて弱く
荒れた耕地やけはしいみんなの瞳を避けて
おろかにもまたおろかにも
昨日の安易な住所を慕ひ、
この方室にたどって来れば、
まことにあなたがたのことばやおももちは
あなたがたにあるその十倍の強さになって
……風も燃え……
わたくしの胸をうつのです
……風も燃え 禾草も燃える……