〔エレキや鳥がばしゃばしゃ翔べば〕
一九二七、五、一四、
エレキや鳥がばしゃばしゃ翔べば
九基に亘る林のなかで
枯れた巨きな一本杉が
もう専門の避雷針とも見られるかたち
……けふもまだ熱はさがらず
Nymph, Nymbus, Nymphaea,……
杉をめぐって水いろなのは
羊歯から花を借りて来て
梢いっぱい飾りをつけた
やくざな檞の樹ででもあらう
……最后に
火山屑地帯の
小麦に就て調査せよ……
雲は淫らな尾を曳いて
しづかに森をかけちがふ
←前の草稿形態へ