悪意
一九二七、四、八、
夜のあひだに吹き寄せられた黒雲が
朝日に焼けて凄まじく暗い朝になった
今日の遊園地の設計には
あの悪魔ふうした雲のへりの
鼠と赤をつかってやらう
口をひらいた魚のかたちのアンテリナムか
いやしいハーデイフロックス
さういふものを使ってやらう
食ふものもないこの県で
あんなところへ百万からの金も入れ
結局魔窟を拵えるだけだ
あすこの斜面では
風もさむく
陽もいちにち薄いだらうが
かたくりの花はもうたぶん咲く
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