豚
一九二七、四、七、
あの大もののヨークシャ豚が
けふははげしい金毛(け)に変り
独楽(こま)よりひどく傾きながら
西日をさしてかけてゐる
もうまっしぐらかけてゐる
かけてゐる かけてゐる
まっ黒な森のヘりに沿って
まだまっしぐらにかけてゐる
追ってゐるのは
棒をかざして髪もかゞやく
その日本の酋長の娘
栗の梢でぐらぐらゆれてゐるのは夕日
森のこっちにあらはれて
小手をかざして日を見るものは
青い麻着た酋長で
娘も豚ももう居ない
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