三七七

     九月

                  一九二五、九、七、

   

   校圃(はたけ)を抜けて

   アカシヤの青い火のとこを通り

   燕が鰯みたいに飛びちがふのにおどろいて

   風に帽子をとられさうになり

   東の山彙の縞に挨拶を抛げ

   水のたまりをすぽんととべば

   あとは

   Fox tail grass の緑金のもやうと

   何でももうぐらぐらゆれるすすきだい

     ……山では雨も降れば

       ぼうと濁った陽もそそぐ……

   それから風がまた吹くと

   白いシャッツもダイナモになる

   さて、地平線を行く電線や

   汽笛の cork screw かね

   Fortuny 式の照明かね

 

 


   ←前の草稿形態へ

次の草稿形態へ→