九月
一九二五、九、七、
校圃(はたけ)を抜けて
アカシヤの青い火のとこを通り
燕が鰯みたいに飛びちがふのにおどろいて
風に帽子をとられさうになり
東の山彙の縞に挨拶を抛げ
水のたまりをすぽんととべば
あとは
Fox tail grass の緑金のもやうと
何でももうぐらぐらゆれるすすきだい
……山では雨も降れば
ぼうと濁った陽もそそぐ……
それから風がまた吹くと
白いシャッツもダイナモになる
さて、地平線を行く電線や
汽笛の cork screw かね
Fortuny 式の照明かね
←前の草稿形態へ
次の草稿形態へ→