下背に日の出をもつ山に関する童話風の構想
一九二五、八、一一、
ゼラチンのつめたい霧もながれてくるし
上の方には桃いろや朱の電気菓子が飛んでゐる
またはひまつの緑茶をつけたカステラや
脂っこい(二字不明)緑や茶いろの蛇紋岩
みやまうゐきゃうの香料から
蜜やさまざまのエッセンスにも
(一字不明)い(二、三字不明)バター(数文字不明)は
……そこには碧眼の蜂もふるふ……
むかし風の金米糖でも
wavellite の牛酪(バター)でも
またこめつがは青いザラメでできてゐて
さきにはみんな
干した葡萄がついてゐる
蒼く湛える北上河谷のこどもたち
みんなでいっしょにこの天上の
飾られた食卓につかうでないか
たのしく燃えてこの聖餐をとらうでないか
ここらのつめたく濃い霧のジェリーを
のどをならしてのんだり食ったりしやうでないか
おまけにいまにあすこの岩の格子から
まるで恐ろしくぎらぎらに熔けて
光焔をあげた青い宝珠がでてくるか
それともそいつが巨きな銀のラムプになって
まっ白な雲の野原をころがるか
どっちにしても見ものなのだ