四一五

     〔暮れちかい 吹雪の底の店さきに〕

                  一九二五、二、一五、

   

   暮れちかい

   吹雪の底の店さきに

   萌黄いろしたきれいな頸を

   すなほに伸ばして吊り下げられる

   小さないちはの家鴨の子

      ……屠者はおもむろに呪し

        鮫の黒肉(み)はわびしく凍る……

   風の擦過の向ふでは

   にせ巡礼の鈴の音

 

 


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