九〇

     風と反感

                  一九二五、二、一四、

   

   狐の皮なぞのっそり巻いて

   そんなおかしな反感だか何だか

   真鍮いろの皿みたいなものを

   風のなかからちぎって投げてよこしても

   ごらんのとほりこっちは雪の松街道を

   急いで出掛けて行くのだし

   墓地にならんだ赭いひのきも見てゐるのだし

   とてもいちいち受けつけてゐるひまがない

   ははん

   まちのうへのつめたいそらに

   くろいけむりがながれるながれる

 

 


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