心象スケツチ二篇  宮澤賢治

 

     風と反感

   

   そんなおかしな反感だか何だか

   真鍮いろの皿みたいなものを

   風のなかからちぎって投げてよこしても

   ごらんのとほりこっちは雪の松街道を

   急いであるいてゐるのだし

   とてもいちいち受けつけてゐるひまがない

   まちのうへのつめたいそらに

   くろいけむりがながれるながれる

 

 


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