一九二四、七、 、
ほほじろは鼓のかたちにひるがへるし
まっすぐにあがるひばりもある
岩頸列はまだ暗い霧にひたされて
貢った暁の睡りをとってゐるが
この峡流の出口では
麻のにほひやオゾンの風
もう電動機(モートル)も電線も鳴る
夜もすがら
風と銀河のあかりのなかに
ガスエンヂンの爆音やポムプを守ったわかものたち、このはなやかな田園の黎明のために
それらの青い草山に
波立つ萓と古風な稗の野末をのぞみ
東のそらの黝んだ葡萄鼠と、
赤縞入りのアラゴナイトの盃で
この清冽な朝の酒を
胸いっぱいに汲まうでないか
見たまへあすこら四列の虹の交流を
水いろの天の渚による沙に
いまあたらしく朱金や風がちゞれ
ポプルス楊の幾本が
繊細な葉をめいめいせはしくゆすってゐる
湧くやうにひるがへり
叫ぶやうにつたはり
いっしんに発信をつゞけてゐる