一四五

     比叡(幻聴)

                  一九二四、五、二五、

   

   黒い麻のころもを着た

   六人のたくましい僧たちと

   わたくしは山の平に立ってゐる

     それは比叡で

     みんなの顔は熱してゐる

   雲もけはしくせまってくるし

   湖水も青く湛えてゐる

     (うぬぼれ うんきのないやつは)

   ひとりが所在なささうにどなる

 

 


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比叡山頂より琵琶湖を望む(眼下の市街は大津市)