虹を来る判事
一九二四、四、二七、
例の判事がやってくる
すきっと青くやってくる
今日は春だし一つ和睦をしてやるか
大きな虹をうしろにしょって
急いでくるのは感服だ
鷺のかたちにちゞれた雲の
そのまっ下をあるいてくるのは気の毒だ
一つ挨拶してやらう
あ よせよせ
もうおれを見て
片眼をぱっとつぶってやがる
かあいさうに
毎日詐欺をしらべたあとで
鰻を一つ食ふんだらう
来た来た
いや、桜の花が日光にすかし出されるのは
どこか蛙の卵のやうで
あんまりよくはありませんな
役場の角を黄金の眼をした大きな青い犬もくる