霧とマツチ

   

   (まちはづれのひのきと青いポプラ)

   霧のなかからにはかにあかく燃えたのは

   しゆつと擦られたマツチだけれども

   ずゐぶん拡大されてゐる

   スヰヂツシ安全マツチだけれども

   よほど酸素が多いのだ

   (明方の霧のなかの電燈は

   まめいろで匂もいゝし

   小学校長をたかぶつて散歩することは

   まことにつつましく見える)

 

 


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(宮澤家本では削除)