風景

   

   雲はたよりないカルボン酸

   さくらは咲いて日にひかり

   また風が来てくさを吹けば

   截られたたらの木もふるふ

    さつきはすなつちに廐肥(きうひ)をまぶし

      (いま青ガラスの模型の底になつてゐる)

   ひばりの黒いダムダム弾(だん)

   いきなりそらに飛びだせば

     風は青い喪神をふき

     黄金の草 ゆするゆする

       雲はたよりないカルボン酸

       さくらが日に光るのはゐなか風(ふう)

 

 


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