陽ざしとかれくさ  宮沢賢治

   

     どこからかチーゼルが刺し

     光(くわう)パラフ井ンの 蒼いもや

     わをかく、わを描く、からす

     烏の軋り……からすの器械……

   (これはかはりますか)

   (かはります)

   (これはかはりますか)

   (かはります)

   (これはどうですか)

   (かはりません)

   (そんなら、おい、ここに

    雲の棘をもつて来い。はやく)

   (いゝえ かはります かはります)

       ………………………刺し

       光パラフ井ンの蒼いもや

       わをかく わを描く からす

       からすの軋り……からすの機関

 

 


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