恋と病熱

   

   けふはわたしの額もくらく

   烏(からす)さへ正視できない

    いもうとはちやうどいまごろ

    つめたく陰気な青銅(ブロンヅ)いろの病室で

    透明薔薇(ばら)の火に燃されだす

   ほんたうに、けれども妹よ

   けふはわたしもあんまり重くひどいから

   やなぎの花もとって行かない

 

 


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