アナロナビ、クナビ 木の芽は膨らみて
柳の絮はとびひかり
をちこち山の畑には
睡たく桐の花咲けり
ナビクナビアリナリ 児らをせなにして
赤とうこんの幡(はた)もちて
草の峠や水無し谷
越えもて行くや母の群
ナリトナリアナロ 御堂のうすあかり
毘沙門像のおんすねに
味噌塗りまつりおん手形
みうちさすりておろがみぬ
アナロナビクナビ 踏まるゝ天の邪鬼
金のめだまのやるせなみ
堂を出づれば風ぬるみ
つゝどり四方にどよもせり
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