釜石よりの帰り

   

   かぎりなく鳥はすだけど

   こゝろこそいとそゞろなれ

   

   竹行り小きをになひ

   雲しろき飯場を出でぬ

   

   みちのべにしやが花さけば

   かうもりの柄こそわびしき

   

   かすかなる霧雨ふりて

   丘はたゞいちめんの青

   谷あひの細き棚田に

   積まれつゝ廐肥もぬれたり