国柱会

   

   外の面には春日うららに

   ありとあるひびきなせるを

   灰いろのこの 館には

   百の人 けはひだになし

   

   台の上 桜はなさき

   行楽の 士女さゞめかん

   この館はひえびえとして

   泉石を うち繞りたり

   

   大居士は 眼をいたみ

   はや三月 人の見るなく

   智応氏はのどをいたづき

   巾巻きて廊に按ぜり

   

   崖下にまた笛鳴りて

   東へと とゞろき行くは

   北国の春の光を

   百里経て汽車の着きけん