一〇七六

     病中幻想

               一九二七、六、一三、

   

   罪はいま(やまひ)にかはり

   たよりなくわれは騰りて

   野のそらにひとりまどろむ

   

   太虚ひかりてはてしなく

   身は水素より軽ければ

   また耕さんすべもなし

   

   せめてはかしこ黒と白

   立ち並びたる積雲を

   雨と崩して堕ちなんを

 

 


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