訓導

   

   早くもひとり雪をけり

   はるかの吹雪をはせ行くは

   木鼠捕りの悦治なり

   

   三人ひとしくはせたちて

   多吉ぞわらひ軋るとき

   寅は溜りに倒れゐし

   

   赤き毛布にくるまりて

   風くるごとに足小刻むは

   十にたらざる児らなれや

   

   吹雪きたればあとなる児

   急ぎて前にすがりつゝ

   一列遠くうすれ行く