烏百態

   

   雪のたんぼのあぜみちを

   ぞろぞろあるく烏なり

   

   雪のたんぼに身を折りて

   二声鳴けるからすなり

   

   雪のたんぼに首を垂れ

   雪をついばむ烏なり

   

   雪のたんぼに首をあげ

   あたり見まはす烏なり

   

   雪のたんぼの雪の上

   よちよちあるくからすなり

   

   雪のたんぼを行きつくし

   雪をついばむからすなり

   

   たんぼの雪の高みにて

   口をひらきしからすなり

   

   たんぼの雪にくちばしを

   ぢっとうづめしからすなり

   

   雪のたんぼのかれ畦に

   ぴょんと飛びたるからすなり

   

   雪のたんぼをかぢとりて

   ゆるやかに飛ぶからすなり

   

   雪のたんぼをつぎつぎに

   西へ飛びたつ烏なり

   

   雪のたんぼに残されて

   脚をひらきしからすなり

   

   西にとび行くからすらは

   あたかもごまのごとくなり