セレナーデ
      恋歌

   

   江釣子森の右肩に

   雪ぞあやしくひらめけど

   きみはいまさず

   ルーノの君は見えまさず

   

   夜をつまれし枕木黒く

   群あちこちに安けれど

   きみはいまさず

   

   機関車の列湯気吐きて

   とゞろにしばし行きかへど

   きみはいまさず

   ポイントの灯はけむれども

   ルーノのきみの影はなき

   

   あゝきみにびしひかりもて

   わが青じろき額を射ば

   わが悩あるは癒えなんに