大菩薩峠の歌

   

   廿日月

   かざす刃は音無しの

   黒業ひろごる雲のひま、

          その竜之介

   

   風もなき

   修羅のさかひを行き惑ひ

   すゝきすがるゝいのじ原

          その雲のいろ

   

   日は落ちて

   鳥はねぐらにかへれども、

   ひとは帰らぬ修羅の旅、

          その竜之介、