〔そのときに酒代つくると〕

   

   そのときに酒代つくると、  (つま)はまた裾野に出でし。

   

   そのときに重瞳の()は、   はやくまた闇を奔りし。

   

   柏原風とゞろきて、     さはしぎら遠く(よば)ひき。

   

   馬はみな泉を去りて、    山ちかくつどひてありき。