〔たそがれ思量惑くして〕

   

   たそがれ思量惑くして、  銀屏流沙とも見ゆるころ、

   

   堂は別時の供養とて、  盤鉦木鼓しめやかなり。

   

   

   頬青き僧ら清らなるテノールなし、  老いし請僧時々に、

   

   バスなすことはさながらに、  風葱嶺に鳴るがごとし。

   

   

   時しもあれや松の雪、  をちこちどどと落ちたれば、

   

   室ぬちとみに明るくて、  品は四請を了へにけり。