上流

   

   秋立つけふをくちなはの、  沼面はるかに泳ぎ居て、

   

   水ぎぼうしはむらさきの、  花穂ひとしくつらねけり。

   

   

   いくさの噂さしげければ、  蘆刈びともいまさらに、

   

   暗き岩頸風の雲、      天のけはひをうかゞひぬ。

 

 


   ←前の草稿形態へ