〔雪げの水に涵されし〕

   

   雪げの水に涵されし、   御料草地のどての上、

   

   犬の皮着てたゞひとり、  菫外線をい行くもの。

   

   

   ひかりとゞろく雪代の、  土手のきれ目をせな円み、

   

   兎のごとく跳ねたるは、  かの耳しひの牧夫なるらん。