〔日本球根商会が〕
日本球根商会が、 よきものなりと販りこせば、
いたつきびとは窓ごとに、 春きたらばとねがひけり。
夜すがら温き春雨に、 風信子華の十六は、
黒き葡萄と噴きいでて、 雫かゞやきむらがりぬ。
さもまがつびのすがたして、 あまりにくらきいろなれば、
朝焼けうつすいちいちの、 窓はむなしくとざされつ。
七面鳥はさまよひて、 ゴブルコブルとあげつらひ、
小き看護は窓に来て、 あなやなにぞといぶかりぬ。