戸主

   

   歪める陶器烏賊の脳

   小きシャツや 赤き足袋

   露店はならぶ雪の雲

 

   楽隊の音がたぴしに

   はるかの町の角行きて

   おもむろに来る青のバス

 

   みのれる村のをのこらは

   魚こもづつみ一つきの

   (五、六字分空白)みな去りにけり

 

   ひでりつゞける村人は、

   いくたび町を行きかへて

   罪あるもののすがたなり

 

   さびしきかなやたそがれて

   こらのすがたを胸にして

   なほ行きまどふ戸主の群

 

 


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