〔すゝきすがるゝ丘なみを〕

   

   すゝきすがるゝ丘なみを、  にはかにわたる南かぜ、

   

   窪てふ窪はたちまちに、  つめたき渦を噴きあげて、

   

   古きミネルヴァ神殿の、  廃趾のさまをなしたれば、

   

   ゲートルきりと頬かむりの、  闘士嘉吉もしばらくは、

   

   萓のつぼけを負ひやめて、  面あやしく立ちにけり。