〔ひかりものすとうなゐごが〕
ひかりものすとうなゐごが、 ひそにすがりてゆびさせる、
そは高甲の水車場の、 こなにまぶれしそのあるじ、
にはかに咳し身を折りて、 水こぼこぼとながれたる、
よるの胡桃の樹をはなれ、 肩つゝましくすぼめつゝ、
古りたる沼をさながらの、 西の微光にあゆみ去るなり。