山躑躅

   

   こはやまつつじ丘丘の、  栗また楢にまじはりて、  熱き日ざしに咲きほこる。

   

   なんたる冴えぬなが紅ぞ、  朱もひなびては酸えはてし、  紅土(ラテライト)にもまぎるなり。

   

   いざうちわたす銀の風、  無色の風とまぐはへよ、  世紀の末の児らのため。

   

   さは云へまことやまつつじ、  日影くもりて丘ぬるみ、  ねむたきひるはかくてやすけき。