眺望
雲環かくるかの峯は、 古生諸層をつらぬきて
侏羅紀に凝りし塩岩の、 蛇紋化せしと知られたり。
青き陽遠くなまめきて、 右に亘せる高原は、
花崗閃緑 削剥の、 時代は諸(もろ)に論(あげつら)ふ。
ま白き波をながしくる、 かの峡川と北上は、
かたみに時を異にして、 ともに一度老いしなれ。
砂壌かなたに受くるもの、 多くは酸えず燐多く
洪積台の埴土壌土(はにひじ)と、 植物群(フロラ)おのづとわかたれぬ。