〔古き勾当貞斉が〕

   

   古き勾当貞斉が、       いしぶみ低く垂れ覆ひ、

   

   雪の楓は暮れぞらに、     ひかり妖しく狎れにけり。

   

   

   連れて翔けこしむらすゞめ、  たまゆらりうと羽はりて、

   

   沈むや宙をたちまちに、    りうと羽はり去りにけり。