車中〔二〕

   

   稜堀山の巌の稜、  一()を宙に旋るころ

   

   まなじり深き伯楽(はくらく)は、  しんぶんをこそひろげたれ。

   

   

   地平は雪と藍の松、  氷を着るは七時雨、

   

   ばらのむすめはくつろぎて、  けいとのまりをとりいでぬ。